弁護士とは、法的手続において当事者の代理人、被告人の弁護人として法廷で主張・弁護等を行うほか、各種の法律に関する事務を行う職業、またはその資格を持った者をいう。当事者の代理人としての委任契約等で報酬を得る。
日本では、その職掌・資格に関しては弁護士法などで規定されている。シンボルは中央に天秤を配した向日葵で、徽章もこのデザインによる。
アメリカ合衆国においては、弁護士は州ごとの資格である。したがって、厳密にいえば「米国弁護士」という資格はなく、たとえば「ニューヨーク州弁護士」であったり、「カリフォルニア州弁護士」であったりするわけである。当然司法試験も各州当局により実施されており、受験資格や合格基準も州により異なるが、多くの州に共通する部分を概説すると次のとおりである。司法試験を受験するためには、原則として米国法曹協会が認定するロー・スクールにおいてジュリス・ドクターの学位を取得する必要がある。ただし、英米法系の国において同様と認められる法学教育を受けた者や、非英米法系の国で法学教育を受けた後、アメリカのロー・スクールで一定の単位を取った者にも受験資格が認められることがある。
ほとんどの州においては、司法試験は、主要法域における米国の一般的法理に関する知識を試す択一式の各州共通司法試験と、当該州の州法を中心とした州独自の試験の二本立てからなる。また、一定の与件のもとで意見書等の法律文書を作成させるといった、法律知識のみならず実務能力を試す試験を実施している州もある。さらにほとんどの州では、司法試験の他に、法曹倫理に関する共通試験で一定の成績をとることが要求されている。以上のような試験に合格すればその州での法曹資格を得ることができるので、日本の司法修習のような合格後の訓練制度はない。
州ごとの資格であるため、資格のない州の裁判所で依頼人を代理する等他州の法律に関する法律業務を行うことは原則としてできない。ただし、他州の資格のみを持つ弁護士が一時的に自州の裁判所で弁論することを認めたり、一定の資格・経験のある他州の弁護士に、自動的に、または略式の司法試験により自州の法曹資格を与えることがある。
アメリカには、100万人を超える弁護士がいるといわれ、2万人強に過ぎない日本と比較してその多さが指摘されることがあるが、アメリカにおいては日本の隣接法律職の業務の多くを弁護士が行っていることに注意すべきである。たとえば、司法書士、行政書士といった資格はアメリカにはなく、その業務は明らかに弁護士の業務の一部である。弁理士の業務を行うのは特許弁護士と出願代理人であるが、前者は弁護士である。さらに、税理士の業務も税務弁護士と会計士が行っているといえる。さらに、日本では、企業の法務部等で法務業務を行っている者の多くは我が国の弁護士資格を有していないが、アメリカの企業の法務部で法務業務を行う者は原則として弁護士である。ちなみに、米国と日本とで企業の契約書を比べた際に、米国の契約書の方が細かいのは、米国は法務部に弁護士が係わっているからだ、という指摘がある。
弁護士が加入する保険が分野ごとに分かれていることも一因で、弁護士の専門分野が細分化されている。
民事訴訟では原告・被告等の訴訟代理人として、それらの主張が認められるように主張や立証活動等を行い、刑事訴訟では被告人の弁護人として被告人の無罪を主張し、あるいは適切な量刑が得られるように、検察官と争う。なお、弁護士と弁護人は別の概念であり、弁護士は、弁護人の立場になることのできる代表的な資格であるが、弁護士でない者が「特別弁護人」として弁護活動を行うこともある。破産や民事再生、会社更生法の申請などの法的倒産処理手続やこれに関連する管理業務などの法律事務を行い、関連する法律相談も行う。これら倒産手続を含む法廷手続を担当する専門職というのが古典的・典型的な弁護士の職掌である。
また、公務員職権濫用、特別公務員職権濫用・同致死傷、特別公務員暴行陵虐・同致死傷、破壊活動防止法45条、団体規制法42条、43条の罪について、刑事訴訟法262条の付審判請求に基づき、裁判所が審判に付する旨の決定をした場合、裁判所から指定された弁護士が公訴の維持に当たり、検察官の職務を行う。
2006年12月1日時点での日本における弁護士数は、23,103名である。これは、アメリカなど主要先進諸国に比べても低い値であるが、特に、弁護士の大都市部への偏在の問題を抱えている
(ウィキぺディアから参照しています)